機構長挨拶

 令和4年7月1日、東海国立大学機構名古屋大学は、物質創製化学に強みをもつ北海道大学、京都大学、九州大学と横断的に連携する研究組織「学際統合物質科学研究機構」を設立しました。

 本機構には、4大学の物質創製分野に関わる研究所(名古屋大学物質科学国際研究センター、北海道大学触媒科学研究所、京都大学化学研究所附属元素科学国際研究センター、九州大学先導物質化学研究所)がコアとなり、総勢120名に及ぶ研究者が参画します。このような大規模な大学横断的組織を一大学へ設置するのは、名古屋大学では初めての例になります。

 物質創製という分野は、日本が誇る学術分野の一つであり、その中でも強みをもつ4大学が強力なチームを組んで取り組む本機構の使命は大きいと考えています。この大学間連携の取り組みは、2005年に始まった物質合成研究拠点機関連携事業に端を発しており、歴史があり、脈々と基盤を築いてきました。今回、研究組織として設置することで、融合フロンティアの開拓と若手人材の育成を両輪に、より強力に連携を進めてまいります。

 日本の大学がこれから目指すべき方向性の一つは社会貢献であり、この観点で物質創製分野は、基礎科学からより踏み込んだ形で社会貢献ができる分野かと思います。本機構では、触媒、マテリアル、バイオ機能に関連する重点研究分野・課題を設定し、それらを中心に学際分野へと研究を展開します。また、4大学が密に連携するスケール効果を活かすことにより、若手人材の育成や流動化、さらには各大学の強みとなる研究資源の相乗的活用を進めてまいります。さらには、ドイツ・ミュンスター大学との連携を中心とした国際連携や、異分野、地域、産学の連携を進めることにより、世界的トップ拠点の形成を目指します。本機構のこれらの多角的な取り組みにより、我が国の物質創製を基盤とする研究分野の発展に貢献できればと願っています。本機構の成果を、関連分野、産業界の皆様にいち早く発信していくように努めてまいりますので、注目いただければと存じます。

名古屋大学 学際統合物質科学研究機構
機構長 門松健治